2番生地(型で抜いた残りの生地)のスコーンってどうなの?
こんにちは。紅茶専門店ティークラブの堀内芳昌です。
型で抜いたスコーンを作ると「型で抜いた後に生地が残る」。この生地を「2番生地」と言ったりします。
2番生地で作ったスコーンはどうなのか?最初に抜いた生地のスコーンとできが違うのか?についてお話します。
1番生地と2番生地ではスコーンのできが違う
- 1番生地=生地をのばして最初に抜いたスコーン
- 2番生地=抜いた残りの生地をまとめ直しのばして抜いたスコーン
1番生地と2番生地ではスコーンのできが違います。正しくは、焼く前の生地の状態から全く違います。
1番生地で作ったスコーンは、外はサクッ、中はふんわりで形もキレイに膨らみます。食べると軽く口どけがよい。
一方、2番生地の外側はサクッとはしますが、少し固くなる。外がサクッというよりも上下が固めになる印象です。内側はフワッというよりも全体に柔らかい(表現が微妙ですが)。柔らかいのにモソっとして、少しですが口どけが悪くなっています。
この差を微差と見るか、明らかに違うと思うかの判断は個人差があるでしょう。気にならないという人もいると思いますが、私は明らかに違うと考えます。
結局のところ、『2番生地はこね過ぎた生地と同じ』ということです。
なぜ、違いが出るのか?
一度抜いた生地をまとめ、のばし、2回目を抜きます。まとめる際に多少こねるためグルテンが出るからです。グルテンによって固めになったり、口どけが悪くなったりします。
適度にグルテンが出た1回目と、ややグルテンが出過ぎた2回目の差。こね過ぎた生地と同じです。
なお、2番生地をできるだけこねないでまとめようとすると生地のつながりにムラが出ます。
極端にいえば、型で抜いた生地を両脇からギュッと押し固めただけの状態だとしたらグルテンは1回目とあまり変わりませんが、生地のつながりが弱過ぎます。再度型で抜くかナイフでカットして焼いたスコーンは食べる時にボロボロと崩れてしまいます。
なるべくこないでまとめたいのですが、生地のムラがないくらいにはまとめないと見た目がキレイで食べやすいスコーンになりません。すると、ややグルテンが出過ぎるというジレンマが…。型抜きの難しいところですね。
よい状態のスコーンは生地の半分しかできない
1番生地と2番生地のスコーンはできが違う。2番生地のスコーンは僅かだとしても劣る。つまり…つまりですよ、よいスコーンは生地の半分しかできないことになります。
ちょっと困った問題ですね。
じゃあ、どうするのか?
- 1番生地は型で抜く。2番生地はナイフでカット。
- 型抜きを諦め、ナイフで切る。2番生地を出さない。
1番生地は型で抜く。2番生地はナイフでカット。
1番生地は型で抜く。残った生地(2番生地)をまとめ、のばす。なるべくこねないで、なるべくムラをなくす。2回目は型抜きしないで、ナイフでカットする。3番生地(さらに抜いた残りの生地)を出さないためです。
ややこね気味の1番生地。2番生地も軽くこねまとめた。1番生地は型で抜く。2番生地はナイフでカット
1番生地も2番生地もなるべくこねないでまとめた。1番生地は型で抜く。2番生地はナイフでカット
この方法は、2番生地はできますが「家で食べるのだから気にしない」ということです。ただし、3番生地はさらに状態が悪くなるため、2番生地で使い切る。
1番生地のスコーン1個と2番生地のスコーン1個を組み合わせて一人分にすれば、よい生地・悪い生地の不公平がなくなります。
型抜きを諦め、ナイフで切る。2番生地を出さない。
型で抜けば、必ず2番生地ができます。2番生地を出さないために「型抜きを諦め、ナイフで切る」こうすば2番生地が出ません。
この方法は作業工程も手軽です。軽くこねながらまとめる場合は、丸くまとめる。カードで切りながらまとめる場合は、四角・長方形にまとめのがおすすめです。
キレイなスコーンを作りたいのなら、長方形にまとめて、長方形の淵をカットしてください。サイズが小さくなりますから、なるべくきれいな長方形にのばし、淵ギリギリをカットしましょう。
カットした生地は丸めて焼いて、味見用の位置づけに。
2番生地は型抜きしない
2番生地を型抜きすると、キレイにできた1番生地のスコーンとイマイチな2番生地のスコーン、状態のよくない3番生地ができるためおすすめしません。
家で食べるのだから「3番生地のスコーンのできが悪くても構わない」と思うかもしれません。
だとしたら、2番生地をカットすれば「見た目はイマイチですが、味は悪くない(3番生地よりはよい)スコーン」ができます。家で食べるのなら、美味しいスコーンを作ったほうがよいのではないでしょうか。
型抜きしたよい状態のスコーンだけを作りたいのなら1番生地だけ使う
どのようなやり方をしても1番生地と2番生地のスコーンはできが違います。
ベストのスコーンを作りたいのなら1番生地だけを使うしかありません。
そうはいっても、家庭で楽しむのですから、ややできの劣る2番生地を使ってもよいと思います。
スコーンは基本2個1セットで一人分ですから、1番生地と2番生地を組わせて食べてはいかがでしょうか。
家庭で楽しむにしても、来客の場合は「お客様用には1番生地だけを使い、2番生地は自分用にして食べる」のも一案です。
お店の場合は「1番生地だけを使い、2番生地はお客様には提供しない」がよいと思います。
接客が行き届いているお店でしたら、「1番生地と2番生地を組わせて提供する」ことも可能でしょう。ただし、毎回接客でそのことを説明して欲しいです。思いのほか難しいことでしょう。
なお、1番生地と2番生地のスコーンはできがうのですから、2番生地だけが提供されるお客様がないようにしたほうがよいと思います。
実は私、これにあたったことがあるんですよね。分かりますよ。2番生地だって。心底がっかりしました。
では、また。