紅茶のいれ方の神髄は、「茶葉の持ち味を100%引き出す」ことにあります。
紅茶のいれ方=抽出技術があるとすれば、茶葉の持つ美味しさを100%引き出すためにあるものです。
便宜上無理に数値で表しますが
・100点の茶葉を100点の紅茶にする
・30点の茶葉を30点の紅茶にする
このために必要なのが紅茶の抽出技術です。
「茶葉の持ち味を100%引き出す」
言い方を変えると
「茶葉の持ち味以上には美味しくならない」
ということです。
「いれ方で紅茶が美味しくなる」と思っている人は少なくありません。
気持ちは分かりますが、どんなにテクニックを駆使しても、30点の茶葉が40点の味になることは絶対にありません。
マスコミやネットの情報の影響なのか、10点の紅茶を100点にするような「目からうろこのテクニック」や「新常識」みたいなものを期待している人がいますが、紅茶はいれ方だけでは美味しくなりません。
紅茶がいれ方で美味しくなるケース
絶望的に間違ったいれ方をしている人が正しいいれに変えれば、その紅茶は美味しくなります。
たとえば、100点の茶葉が間違ったいれ方のせいで50点になっていたとします。その紅茶が正しいいれ方をしたことで90点になった。この場合は、いれ方で美味しくなったといえます。
茶葉を変えずに、いれ方だけで美味しくなるのは、このケースだけです。
紅茶に抽出技術はない
料理なら、食材の質を調理技術や味付けでカバーすることもできます。けれど紅茶は違います。紅茶はいわば「茶葉にお湯を注ぐだけ」だからです。
紅茶の抽出は、茶葉に湯を注ぎ、蒸らし時間をおき、湯に茶葉の香りと味を移すだけです。
それに必要な作業、「茶葉を計る」「湯を注ぐ」「蒸らす」ためのテクニックはありません。
そして、味をつける味を整える工程はありません。茶葉と湯の味を変えることはできないのです。
100点の茶葉をいれたら、なるべく100点の味になるように。30点の茶葉なら、30点の味をしっかり出せるようにする。それが「正しい紅茶のいれ方」であり、「美味しい紅茶のいれ方」です。
紅茶の抽出にプロの技術はない
紅茶を美味しくいれるために、特別なテクニックやプロの技は必要ありません。というよりも、そもそもプロの技などないのです。
簡単な基本を学び、シンプルなポイントを守れるだけです。お湯を沸かせる人なら誰でもできることばかり。
けれども、そのシンプルなことを忘れたり、手を抜いたりすることで、100点の茶葉が50点の紅茶になったり、50点の茶葉が30点になったりするのです。
- 紅茶はいれ方で美味しくならない
- 紅茶はいれ方で美味しくなくなる
プロがいれてもあなたがいれても紅茶の味は同じ
実は、素材が同じで、同じ道具を使い、レシピを守れば、プロがいれた紅茶と一般人がいれた紅茶は同じ味です。
なぜなら、技術で差が付かないからです。
たまに「堀内さんがいれた紅茶を飲んでみたい」という人いるのですが、私がいれた紅茶もあなたがいれた紅茶も同じ味です。
素材(茶葉と湯)、道具、レシピが同じなら紅茶の味は同じになります。
違うとしたら、気分的なことです。とはいえ、「気分」は重要。気分の違いも味のうちです。
好みの紅茶を見つけよう
紅茶の味の好みは人それぞれです。
コクある紅茶が好きな人がいれば、あっさりと軽い紅茶が好きな人もいるでしょう。ナチュラルな茶葉が好きな人がいれば、人工的に香りを着けたフレーバーティーが好きな人もいるでしょう。
高級な茶葉だけが正解ではありません。ティーバッグでも構いません。
実は、「美味しい紅茶がいれられない」「紅茶は難しい」と嘆く人は、好みの茶葉が見つかっていない人が多いです。
たとえば、あっさりと軽い紅茶が好みのAさんが「上質な茶葉だから美味しいのだろう」とダージリンセカンドフラッシュを買ったとしたら、いれ方うんぬん抜きにして、おそらく好みに合わないでしょう。
逆にコクあるミルクティーを飲みたいBさんが、スーパーで売っているダージリンのティーバッグを買ったとしたら、美味しくないと思うはずです。
AさんもBさんも選ぶ茶葉が違っていることが問題で、いれ方が問題ではないのです。いれ方を工夫すれば、美味しく飲めるわけではありません。
好みの茶葉は、少々大雑把にいれても美味しいものです。元々好きな味だからです。少し薄いか、少し濃いか、それくらいのことです。反面、好みではない茶葉は、どんなスーパーテクニック(ありませんが)を使っても好みの味にはなりません。
まとめ
紅茶のいれ方は、「茶葉の持ち味を100%引き出す」ためにあります。
いれ方で美味しくするのではありません。
紅茶の抽出技術はありません。
基本を学び、実践すれば、誰でも美味しい紅茶はいれられます。
好みの茶葉を見つけることが重要。
好みの茶葉なら気軽にいれても十分に美味しい。
いれ方にこだわり過ぎないで、好みの茶葉を気軽にいれて、お茶の時間を楽しみましょう。
あなたも必ず美味しい紅茶がいれられます。