お茶の葉が、紅茶にかわる時
緑みが残り、甘く爽やかな香りのファーストフラッシュの茶葉
細くかたくよじれながら「紅茶になる時」を待っている
お湯は“葉っぱ”に命を宿すもの
湯を注がれた葉っぱが自分の力で元気に伸びをする
美しい“あぶく”をまとってゆらゆらと泳ぎ出す
清らかな黄金色の湯の中を上へ下へと優雅に泳ぐ
しだいに“あぶく”が離れゆったりと沈んでいく
小さくよじれていた体を広げ、紅茶になったお湯を抱いて眠る…
わずか数分の時間で「葉っぱが紅茶に」「お湯が紅茶に」変わっていく
葉っぱにお湯を注いだら、なにもしないで数分待つだけ…
たったそれだけのこと
ファーストフラッシュの茶葉は、寒い冬を越え、春を迎え温かくなり、恵みの雨を浴び“芽吹く”
農園の人々が数か月の時間をかけ、丁寧に心を込めて育てた茶葉
いつもより少しだけ丁寧に入れて、「葉っぱを“ちゃんと”紅茶にしてあげよう」
難しいことはなにもない
葉っぱに命のお湯を注ぎ、優雅な泳ぎを見るだけのこと
葉っぱが広がり、あぶくを離して眠るを待つだけのこと
すると、透明だったお湯が清らかな黄金色にかわっている
葉っぱが紅茶に、お湯が紅茶にかわっている
あとは、いつもより少しだけ丁寧に味わうだけ…。