ダージリンファーストフラッシュとは?
インド・ダージリンで、その年初めての収穫時期に摘まれた紅茶をダージリンファーストフラッシュと呼びます。ダージリンの新茶のことです。
ダージリンファーストフラッシュは、アッサムやディンブラなど他の紅茶と特徴が異なります。中には「紅茶らしくない」と言ったりする人がいるくらいなのです。
そんなダージリンファーストフラッシュの特徴をお話しします。
ダージリンファーストフラッシュの特徴
- 茶葉
- 水色
- 味わい
「茶葉」「水色」「味わい」に分けて説明しますね。
茶葉
葉っぱの形が残る細く撚った小さい茶葉(フルリーフ・ホールリーフの茶葉)
緑みのある茶葉を多く含む
白く小さな芯芽を多く含む
茶葉の外観や香りなどは収穫年、収穫茶園によっても違いがあります。
水色
他の紅茶に比べると水色が浅く黄金色の透明感のある色合い
レモンイエロー~淡いオレンジの水色
紅茶の水色は収穫年、収穫茶園によっても違いがあります。
味わい
香りや味は収穫年、収穫茶園によって差がある
果実、花、ハーブ、森林、若草のような香り
甘み、香ばしさ、旨味の強い香り
森だったり、草原だったり、花畑だったり、出汁のような旨味を感じたり…、もちろん甘く香ばしい茶の香りがある
甘く、旨味がたっぷり、ほんのりと青みや緑みを感じる味わい。
柑橘系の果実のような甘酸っぱさや、熟した果物のような果実感のある味わい。
ほんのりと出汁のニュアンスを感じるほど旨味が強い。青みと旨味が青のりや磯のニュアンスすら感じる
優しい渋みだったり少し刺激的な渋みだったりほどよい渋みがある。渋みもダージリンティーの旨味の決め手の一つ。
味や香りは収穫年、収穫茶園によっても大きく違いがあります。
ダージリンファーストフラッシュは、水色が浅く、青みがあり、甘味が強く、渋味や酸味の味わいが他の紅茶とは一味も二味も違っています。
紅茶らしくないという感想があったり、緑茶やウーロン茶っぽいという感想があったりもする独特の味わいがあります。もちろん紅茶ですし、「全紅茶の中で一番好き」という声も多いです。
好き嫌いが分かれるくらいに「独特の味わいを生む秘密」は、主に次の3つが関わっています。
ダージリンファーストフラッシュの独特の味わいを生む要素
- 産地
- 茶木の種別
- 発酵の度合い
1.産地
茶葉の生産地であるインド(国)・ダージリン(都市)の気候風土がダージリンティーの味わいに大きな影響を及ぼしています。
もちろん、生産地によって味わいが違うのは、ダージリンに限ったことではありません。アッサムもディンブラもウバもキーマンも生産地の気候風土によって、特徴的な味わいが生まれています。
茶木の種別や生産法など他の要素の影響もありますが、もっと大きいのが気候風土といえるでしょう。
それが生産地をブレンドしない紅茶の醍醐味の一つですね。
お米に例えると「北海道産コシヒカリ」と「新潟県産コシヒカリ」と「広島県産コシヒカリ」では、味が違うのと似たようなイメージでしょうか。
2.茶木
紅茶になる茶の木の品種は、大きく分けると「アッサム種」と「中国種」の2つ。
アッサムやディンブラなどの一般的に「紅茶らしい」と言われる紅茶の多くは「アッサム種」という茶の木の品種です。
ダージリンティー中でもダージリンらしい独特の風味が強いものは「中国種」の茶の木です。
中国種は葉が小さく緑茶向きの品種。だから、ダージリンは緑茶っぽいニュアンスがあるのです。
3.発酵の度合い
一般的に紅茶は100%近く発酵させて作ります。ダージリンやヌワラエリアなどごく一部の紅茶に限り、発酵を途中で止める「半発酵」で作られています。
完全に発酵させることで紅茶らしい香ばしさが生まれ、赤茶色の水色になります。発酵を途中でとめることで独特の青みや緑みが感じられ、浅い水色の紅茶になります。
緑茶やウーロン茶のニュアンスを感じるのは「中国種」の茶木であると同時に「半発酵」による影響が大きいと考えられます。
ダージリンファーストフラッシュの独特の味わいは、ダージリンの気候風土、中国種の茶木、発酵度合いによって生まれています。合わせて忘れてはいけないのが「作り手のたゆまぬ努力」。それらが合わさることで独特の鮮烈で滋味深い味わいを生んでいます。
ダージリンファーストフラッシュは、まさに農作物といえる紅茶です。きわめてナチュラルな大地の恵みを感じることができる紅茶です。