紅茶のいれ方「95~98℃の湯を使う」に関して

昨日、林先生がTVで「紅茶のいれ方」について語っていました。ご覧になりましたか?

見ていない人に語っても仕方ないのかもしれませんが、このようなTVを見た人から「こんなことを言ってました!」とか「正しいんですか?」みたいな声が届くわけです。

なので、先回りして答えておきます。

『言っていることは正しい』です。

ですが、私はTVで言っていた紅茶のいれ方「95~98℃の湯を使う方法」をしません。
そして、ティークラブの紅茶を飲む人にはおすすめしません。

なぜなら、「“美味しい紅茶の本質”からズレているから」です。

美味しい紅茶をいれるために最も重要なポイントは茶葉。

美味しい紅茶をいれるには、TVで言っていた「“湯の微妙な温度の違い”のような細かいこと」よりも茶葉の質や鮮度のほうが何倍も重要だからです。

そもそも、どんなにいれ方に気を使ったところで、紅茶の味は茶葉の持ち味を越えることはありません。料理などと違うところです。

とはいえ、「同じ茶葉でもいれ方で味が変わるでしょ」という声が聞こえてきそうです。なので、そのあたりの話をしたいと思います。
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湯温は重要。でも、微妙な差は紅茶の味への影響が少ない。

林先生は、95℃は欲しい。でも、100℃にしてはいけないと…言っていました。ところが、94℃の湯でいれた紅茶と、96℃でいれた紅茶と、100℃でいれた紅茶の味の違いをブラインドテストで分かる人はほとんどいません。

私は専門学校で紅茶を教えているのですが、この手の実験で味の違い気が付く人はいません。何年やっても一人もいませんでした。実は、私もよくわかない…(爆)もしかしたら、私の味覚が当てにならないのかしれませんが…。

100℃の湯でいれると美味しくないという人がいますが(林先生はそこまでは言っていなかった)、そんなことはありません。私の味覚を信じてもらえるなら、100℃の湯でいれた紅茶は美味しいといいます。

理論上は正しいのかもしれません。でも、実際に紅茶をいれ、飲んだら、ほとんどの人が味の違いに気がつかないし、100℃でいれた紅茶は美味しいです。

私が思うには、そーとー味覚に敏感な人でなければ違いが分からない。音楽で例えると「“絶対音感”を持っているような人」でなければ分からないような違いだと私は考えています。でも、茶葉の違いや分量の違いは、誰でも気が付きます。
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95~98℃の湯を作ることは難しい。

そして、もっともっと重要な問題があります。

それは、95~98℃の湯を作ることが難しいことです。

林先生が言った「ジャンピングに酸素が必要」は、100%正しい。だから、やかんの蓋を閉めて湯を沸かします。蓋を開けたら酸素が逃げますから。

蓋をしたまま、大きな泡が立ち始めるのを察知するのは、至難の業です。ちょこっと蓋を開けてその瞬間を見つけるは、本当に難しい。

95~98℃に沸いた瞬間を「今でしょ!」なんて、私にはできません。

でも、100℃まで沸騰させるのは簡単ですよね。湯気がしっかりと立つまで沸かせばよいのですから。
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細か過ぎることに気を使わなくてOK。

そして「5秒」とか言ってましたよね。5秒って(笑)

おうちで飲む紅茶ですよ。そんな細かいことに気を使わなくても、一般人が家庭で紅茶飲むのなら沸騰させた湯で十分に美味しいです。

勘違いしないで欲しいのですが、私は基本的に『キッチリしたい派』です。『手抜き反対派』です。

「楽が一番」「簡単サイコー」みたいな昨今の風潮は、いかがなものかと思っています。「簡単を目指して、かえって難しくしている」とさえ思っているのです。

そんな私でも95~98℃の湯は、難しいし、必要ないと思っています。
100℃に沸騰させるほうが、簡単で、美味しい紅茶になると思っています。

そして、コーヒーは、神経を研ぎ澄まし、気持ちを集中させて淹れるものだと思います。それが良いのです。でも、紅茶はもっとリラックスして欲しい。いれる時からリラックスして欲しいし、“ながら”でいれるので十分です。

でも、“丁寧さ”は必要。手抜きはよろしくありません。
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言っていることは正しい。

とはいえ、湯の温度以外のことは、ほとんど正しいことを言っていました。ジャンピングのことや二度沸かしのことなど…。さすがだなと思いました。一部余計なことを言ってくれたなと(苦笑)

ちなみに、私は林先生の本を持っていて、何度も読み返すくらいに参考にしています。とても、筋の通ったことを言う人だと思っています。林先生が嫌いなのではありません。

今回の紅茶のいれ方は、林先生にとっては正解なのかもしれませんが、私はそのいれ方をしないし、あなたにもおすすめはしないということです。

このような話が出ると「正しい」or「嘘」を決めたがる人が多いのですが、今回は白黒つける話ではありません。どちらでも良いので、あなたにとってよい方法、あなたにとっての正解を自分で見つけてください。

私は、100℃に沸騰した湯で紅茶をいれることをおすすめします。
そして、自分のお気に入りの茶葉で紅茶をいれることが、何よりも大切で、そうすれば細かいことに気を使わなくても、美味しい紅茶を飲むことができると信じています。

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