少し前のことですが、八十八夜関連のニュースが報道されていました。
茶摘みガールズが日本茶の茶摘みをしているシーンをご覧になった人もいるのではないでしょうか。濃紺の着物に茜襷をして、手摘みをしているところが映し出されていましたね。
これは茶摘みイベントの一つとして行われたもの。
日本茶離れが進む昨今、このようなイベントには意味があると思います。
とはいえ、多くの日本茶の場合、若い女性が手摘みするのはイベント用のパフォーマンス。
一般的に販売される日本茶は、ほとんどが機械摘みです。
これに対して紅茶は、良質の紅茶は全て手摘み。
それも、女性の仕事なのです。
休憩をはさみ、およそ7時間労働。
朝から夕方まで、ひたすら茶摘みをするのです。
私は専門学校の非常勤講師をしていますが、学生達に『こんな仕事できますか?』
と質問をすると全員がNOとお答えます。
『普通の就職先よりも給料が高いとしたらどうですか?』
といっても、答えはかわりません。
そうですよね。
現代の若者なら3日と持たないかもしれません。
それどころが『こんなきつい仕事させて、ブラック企業だ!』なんて言い出しかねません…。
というか、若い人に限らず、今の多くの日本人には無理な仕事ではないでしょうか?
正直、私だってできないと思います。
インドやスリランカの茶園に努める女性たちが汗水流して茶摘みをしてくれるから、私達は美味しい紅茶を飲むことができるわけです。
国産は確かに良いと思います。しかし、同等のクオリティーのことを、同レベルの価格で、今の日本で行うのは、現実問題としてかなり厳しいのではないでしょうか。少しずつ広がってはいますが…。
紅茶という乾燥物になってしまうと“農作物” という感覚や“人が作っている” という感覚が薄れがちですが、紅茶は農作物です。
人の手によって大切に育てられ、人の手によって丁寧に摘まれます。
そして、紅茶へと加工されるのです。
ご家庭では気軽に紅茶を楽しめば良いと思います。
でも、たまには、「茶園の女性たちのおかげで私達は美味しい紅茶が飲めている」ことを考え、紅茶を味わってみてはいかがでしょうか?
いつもとちょっぴり違う味わいを感じるかもしれません…。